“新築住宅の顔”とも言えるキッチン。生活感の出る空間だからこそ、機能性はもちろんデザイン性にもこだわりたいところ。家事の効率を上げ、家族やゲストとのつながりを生み出してくれるキッチンは、心を豊かにする住まいの中心的存在です。
今回は、オーダーキッチン・カスタムキッチンの国産メーカー「キッチンハウス 名古屋店」の小畑匡司さんにインタビュー。クラシスホームの家づくりでも多く選ばれてきた“オンリーワンのキッチン”について、前編、後編の2本立てでお届けします。
前編では、オーダーキッチン・カスタムキッチンの魅力や、新築住宅でキッチンをオーダーする際の注意点についてお話をうかがいました。
自由度の高いオーダーキッチンで、住空間との調和を実現
――オーダーキッチンやカスタムキッチンの国内生産をいち早く手掛けた「キッチンハウス」。どのような思いからスタートしたのでしょうか。
小畑さん「創業当初は、ドイツ製のシステムキッチンを中心とする輸入販売を行っていた当社。西欧から届く最先端のシステムキッチンに魅了され、『日本の風土や暮らしに合わせた、日本人のためのオーダーキッチンを生み出そう』と国内生産を開始しました。」
――キッチンハウスの手掛けるキッチンには、どのようなシリーズがあるのでしょうか。
小畑さん「キッチンハウスを象徴するのが、お施主様の理想を実現できるフルオーダーメイドの『オートクチュール』です。また、品質やデザイン性などの優位性を詰め込みながら、コストのバランスを兼ね備えたセミオーダーの『ベーシック』シリーズも展開しています。
さらに近年は、キッチンハウスの技術力やデザインの美しさをパッケージ化。コストを抑えてお施主様に親しみをもっていただきたいという思いから、『グラフテクト』という姉妹シリーズも誕生しました。価格帯の幅が広がったことで、キッチンハウスのポテンシャルを知っていただけるきっかけにもなりました。」
小畑さん「また、クラシスホームオリジナル仕様のシリーズには、オーダーキッチンで人気のレイアウトや機器を凝縮したパッケージも展開しています。厚さ11㎜の薄天板を使用した、すっきりとしたシルエットが特長です。天板や扉のカラーはお選びいただけますが、あえて同色でコーディネートすることで、家具のようなキッチンに仕上げることも可能です。
また、クラシスホームにはキッチンスペースを広く確保していただけることが多いので、間口に合わせたサイズ展開も充実しています。標準的なカップボードサイズのW1850から最大W4000まで取り揃えており、『カップボード+造作収納』ではなく、キッチンと同面材で一体感もあるので見た目も迫力がありますね。」
――キッチンハウスのオーダーキッチンが選ばれる理由についてお聞かせください。
小畑さん「一般的なシステムキッチンの場合、機能性やデザイン性を考え抜いて選んだとしても、実際の住空間と組み合わせるとキッチンだけが浮いてしまうこともありますよね。一方でオーダーキッチンの場合は、レイアウトや素材、設備、収納など自由度の高い組み合わせが可能。キッチンと隣接するダイニングやリビングとの調和性や動線も考慮できるんです。
当社のキッチンに使用される「エバルト」という素材は、メラミン素材をよりキズ・汚れに強く、且つワークトップに使用できるよう開発した素材です。メンテナンスしやすいのが特長で、収納扉とワークトップの両方に使用可能です。
また、木目調やコンクリート調といった素材の豊かな表情を再現したテクスチャーや、約30色の豊富なカラーバリエーションにより、接続する住空間へのつながりも実現。ダイニングテーブルやワークスペース、リビング収納やテレビボードにいたるまでキッチンと同じ仕様にできます。インテリアの核となるキッチンだからこそ、住空間を細部までこだわりたいお施主様にお選びいただけています。」
回遊性と使い勝手のよさを両立する「デュエ」スタイルが人気
――キッチンの主なレイアウトについて教えてください。
小畑さん「レイアウトにはさまざまな種類がありますが、開放的で回遊性のあるアイランド型、左右どちらかが壁側に接しているペニンシュラ型、シンクとコンロが一直線に並ぶI型、L字に並ぶL型などがあります。キッチンのために確保できるスペースの広さや”どんな使い方がしたいか”を考えて、家族構成や暮らし方によって最適なレイアウトを選ぶ必要があります。」
――近年人気のスタイルなどはありますか。
小畑さん「近年人気のスタイルとしては『デュエ』が挙げられます。回遊性があり、コミュニケーションが取りやすいことから、ホームパーティーなど来客の多いご家庭にも好評をいただいています。また油跳ねが気になるコンロや換気扇など、生活感の出やすい部分を壁側に配置して見えにくくできるのも人気のポイントです。アイランドキッチンの懸念点であった、キッチン全体が見えてしまい生活感が目立ってしまうという悩みも解消できます。」
シンクとクッカー(調理台)がわかれたレイアウト。コンパクトなスペースのなかに、収納力や作業性の高さを備えています。ダイニングテーブルやカップボードと連結することで回遊性が高くなり、家事の効率化にもつながるでしょう。
LDKはトータルコーディネートで統一感のある空間に
――新築住宅を建てる際、オーダーキッチンやカスタムキッチンを検討する場合はどのタイミングで決めておくべきでしょうか。
小畑さん「住宅の打ち合わせが始まったら、同時進行で進められるように早い段階でキッチンについてご検討いただくことをおすすめします。とくにオーダーキッチンやカスタムキッチンは、間取り検討時にあらかじめ組み込みつつ進めていくことで、スペースの確保やLDKの中で何を優先させるかが思い描きやすくなります。キッチンをインテリアの主役としてお考えの場合は尚更です。
ご予算の面でもキッチンは高い比率を占める部分になります。家づくり全体の予算と照らし合わせて仕様や設備を取捨選択するため、初期のプラン作成と並行してオーダーキッチンを検討するとより自由度が高まるのではないでしょうか。」
――ありがとうございます。引き続き後編では、オーダーキッチン・カスタムキッチンを取り入れた施工例や、キッチンから考える“自由な発想の家づくり”についてうかがっていきます。
【Profile】
小畑 匡司さん/キッチンハウス名古屋店(株式会社TJMデザイン)
兵庫県神戸市出身。大学卒業後、通信業界を経て「キッチンハウス」を核とする、株式会社TJMデザインに入社。休日は子どもとピザを作ったり、公園へ行ったりと、家族で過ごす時間を通じてリフレッシュしている。