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夫婦それぞれの空間で個々に過ごす時間も尊重する寛容な住まい | クラシスホームの最新ニュース





今回は、2018年にクラシスホームが出版した書籍『ストーリーのある家づくり』より、住まわれてから2年半ほど経つ「夫婦それぞれの空間で個々に過ごす時間も尊重する寛容な住まい」をご紹介致します。
N邸
ご夫婦/30代前半
長女/4歳
長男/7ヵ月
ともに大学で美術を専攻していたN夫婦の住まいには、お二人の美学があちらこちらに宿っています。たとえば、ご主人にとって、玄関ホールも廊下もムダな空間。土間の引き戸を開けるとすぐに、リビングダイニングが四角く広がっています。
ご主人が実現したかったのは、“凸凹のない家”です。
それは、巾木や窓枠など、装飾的なものから生まれる出っ張りや膨らみをできるだけ省いたすっきりとした建物。「できれば真四角な空間がいい」とNさんは設計前にイメージを伝えました。
壁紙には淡い褐色のラワンベニヤ板を丹念に張り巡らせ、窓にはバーチカルブラインドを採用しました。ブラインドは、閉めた時の面が壁とお味高さに見えるようになっています。
また、床と壁の接地面に設ける巾木を高さ2センチ×幅6ミリとできる限り薄く納めました。これで室内の凸凹を最低限に抑えたリビングが完成しました。
娘さんが子ども部屋とリビングの往復で、日に何度も上り下りする階段も凸凹を減らすようにしました。
階段途中には、正方形の箱の積み上げたようなスタッキングシュルフが置かれています。壁面にピタッと収まっているこの棚は、Nさん一家のミニライブラリー。
アウトドア、絵本、画集、小説などがボックスごとに分けられ、家族がそれぞれの趣味の本をいつでも読めるようにしています。
装飾の凸凹を一切なくし、木のぬくもりに満たされた家。
夫は趣味の山。
妻はアートと個々の時間を大切にしながら子どもがのびのび暮らせる住環境を実現しました。
凸凹をなくしたリビングは、ベニヤ材の壁とオークの床材に囲まれた大きな箱のようなしつらえになりました。居ながらに感じるのは、木のぬくもりです。
木肌の心地良い床に直に敷いたマットの上で息子さんがスヤスヤと寝息をたて、娘さんはソファでくつろぎ、さっきまで遊んでいたぬいぐるみが床に転がっています。
リビングの真下に設けた吹き抜けは、1階に光を届けてくれるだけでなく、2階で洗濯する奥様に階下で過ごす子どもたちの気配を伝える空間になりました。
「かぁちゃん!もう3じだよ!おやつはまだ?」吹き抜けを見上げながら、娘さんが大きな声で2階で作業中の奥様に話しかけます。「ちょっと待ってて、今下りるからね~」と応えながら、奥様が吹き抜けからひょいっと顔を出すと、娘さんはちょっと怒りながらもうれしそう。
家の中でお母さんの姿を見失った時の不安感も、N邸では吹き抜けからのコミュニケーションで一掃されます。夕飯どきは2階で遊んでいた娘さんも自然とダイニングへ下りてきています。吹き抜けは大きなエントツの役も果たしています。
この家では、アートが気負うことなく生活の中に入り込んでいます。ダイニングのつくりつけの棚に流木とともに飾られた、夫婦の大学の先輩の作品。
そしてインドの小さな出版社が手すきの紙に手作業で印刷した、「夜の木」というちょっとめずらしい絵本。ダイニングテーブルには、意匠性の高いワイチェアや工芸的な美しさが感じられる木製の椅子などが使われています。
「先輩に譲っていただいたり、祖父の家にあったものだったり。気に入ったものを置いているだけなんですよ」と、ご主人。何気ない日常の延長で、アートのあるくらしを楽しんでいます。
夕食が済んだら、ゆったりと晩酌するのがご主人の日課です。視線の先には、ソファで家族がのんびり過ごすリビングの光景が広がります。おだやかな眺めを肴に、ついついお酒もすすむそう。休日は、まだ暗いうちから車を飛ばして近郊の山へ。
ご主人にとって、休みの日は子どもたちと遊ぶ日もあります。遅くとも朝の10時までには家に帰り、「とうちゃん!外行こう!」という元気な誘いに応じてます。
個性的な木の家は、こうしてあたたかな家族時間を育みます。
リビングダイニングはラワンベニヤ材と白のクロスで壁を囲った、木のぬくもりを感じる空間です。無垢材の床は肌ざわりが心地良く、奥様も「息子のお昼寝のとき、つい一緒にゴロゴロしています。」
家族それぞれの個室にクローゼットをしつらえ、寝室は文字どおり眠るためだけの部屋にしています。
特別支援学校の教諭であるご主人は、家族それぞれの個性を大切にくらしています。
「今はファミリークローゼットが結構主流ですが、家を建てるとき、家族それぞれが自分のスペースをもち、自分の荷物を整理することにしました。そうしたら片づけても片付けてなくても、互いにストレスにならないので」とご主人。
多趣味なご主人は1階の玄関に近い場所に自分専用の城を、ライフワークで絵を描き続けている奥様のために2階に部屋をしつらえました。
教諭になる前はグラフィックデザインの仕事をしていたご主人の部屋は、ウォークインクローゼットを兼ねた書斎仕様。コの字型のラックにはアースカラーの洋服が秩序正しく並び、どこに何があるかがひと目でわかります。
奥様の部屋には作画用のデスクに描きかけの絵や画材が置かれ、部屋の片隅には描き溜めた作品が無造作に並んでいます。「狭くても籠れるスペースがあるのはうれしいですね」と奥様。
年に一度のグループ展が近づくと育児はご主人にまかせて、この部屋で作品づくりに集中します。
夫婦それぞれの部屋は動線も考えられています。スノーボードやトレイルランを趣味にしているご主人は、「早朝に出かけるので家族を起こさず準備ができるように」と、玄関のそばに部屋を設置。奥様のへやの前には、洗濯から室内干し、アイロンがけまで一気に作業ができる洗濯専用コーナーになっています。
部屋のドア横に設けたスロップシンクは、「水彩画の水を含んだり絵筆を洗えるように取りつけてもらいました。靴下の泥汚れも、ちゃちゃっと手洗いできるので便利です」。合理的な動線が、自分のための時間と家事時間の両立をする奥様をサポートしています。
夫婦それぞれが個室をもったことの産物は他にもあります。クローゼットをしつらえる必要がなくなった主寝室は、ベビーベッドを並べて家族全員が並んで眠れるゆったりした空間になりました。
また、お姉ちゃんのおもちゃはすべてキッズルームにまとめ置き、リビングで遊びたいときは自分で持って下り、寝る前には自分で2階に運ぶ習慣をつけています。
「互いの個室をもってみて、主人の部屋はやっぱりきれいだなと、いつも感心にしています。部屋は同じようにはできませんが、共有スペースはキレイにしようと心がけています。キッチンも、もうちょっと頑張らなきゃ」と、奥様。四角く整えた住まいは、
それぞれの時間を尊重しながら家族の調和を図ってくれています。
一人一人、ライフスタイルが違うように、
家づくりもふたつとして同じものもありません。
「憧れ」や「想い」を形にする家づくりでは、
世界に一つだけのストーリーが生まれます。
作品としての施工実例と違い、今まで見せてこなかったその先のくらし。
それぞれライフスタイルの違うご家族のとても豊かなくらし方を
ふんだんに覗ける一冊となっています。
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