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薪ストーブのある“火のある暮らし“。自宅に「焚き火の楽しさ」と「ヒュッゲな時間」を。

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薪ストーブのある“火のある暮らし“。自宅に「焚き火の楽しさ」と「ヒュッゲな時間」を。

ゆらめく火が、豊かな生活を演出してくれる薪ストーブ。
このアナログなイメージの強い暖房器具が、最近になって人気を集めています。クラシスホームでは、愛知県みよし市にある薪ストーブ専門の販売店 株式会社ディーエルディー(以下dld)と提携しながら、お施主様のご要望に対応。
今回のブログでは、同社の石井将史さんに登場してもらい、薪ストーブの概要やメーカー情報、火のある暮らしの魅力などを聞きました。

“火のある暮らし”を過ごす「薪ストーブ」。タイプや暖かくなる仕組みなど、基本情報をレクチャー

――薪ストーブの魅力やあたたかくなる仕組みなど、基本情報について教えてください。
石井さん「薪ストーブは部屋でゆっくり火を眺めて過ごしたり、キャンプのように調理器具として使ったりと、“火のある暮らし”に魅力を感じる人を中心に近年需要が高まってきています。
タイプとしては『鋳鉄製』と『鋼板製』の2種類に分けられ、ともにガラス扉付きの密閉空間の中で薪を燃焼させて暖を得ます。また薪ストーブは燃焼に必要な空気の量(=火力)が調整できるような構造になっているのが大きな特徴。薪の未燃焼ガスをさらに燃焼させることができる構造になっており、実はエネルギー効率の良い暖房器具なんですよ。次に、薪ストーブのあたたかくなる仕組みですが、これも2種類に分けることができます。」

輻射(ふくしゃ)式
薪ストーブは、薪を燃焼させてストーブ本体をあたため、そこから遠赤外線の輻射熱が放出されます。この遠赤外線が、人や空気、木部、土間などをあたためてくれるのです。なお、本体が適正な温度になるほど遠赤外線は強くなり、よりあたたかみを感じるようになります。この遠赤外線の放出現象を輻射と呼び、鋳鉄製ならではのあたたかさのカラクリなのです。

対流式
対流式は、ストーブ内部の空間であたたまった空気をストーブ上方から部屋に放出して、あたためていく方法。冷たい空気は下に、あたたかい空気は上に流れていくという性質を利用しているわけです。輻射熱よりも早く均一に部屋があたたまります。ちなみに、対流式の薪ストーブは鋼板製です。

石井さん「エアコンや石油ファンヒーターは熱風で温めるため温度ムラが生じますが、薪ストーブは、部屋全体を遠赤外線で温めてくれるため、体が芯から温まります。だからこそ、「あたたかい」と感じる時間が持続。例えるなら、ひだまりの中でずっと過ごしているかのようなポカポカ感を味わうことができるのです。
『暖炉とは何が違うの?』という質問をいただくこともありますが、そもそも暖炉には扉がありません。密閉式で二次燃焼させることのできる薪ストーブに対し、開放型の暖炉は燃焼効率および暖房能力が低くなります。そばに近づくと直接火の温もりを感じることができる反面、一部の熱が煙とともに煙突から逃げてしまうため、部屋全体を暖めるには多少時間がかかり、薪の消費量が多くなってしまいます。これらはデメリットと言えるかもしれません。
最初にも述べた通り、薪ストーブは暖房器具です。部屋をあたたかくするのが主な役割ですが、インテリアとしても人気があり、空間演出として用いられることも多いです。また、災害時のインフラとしても期待大。東日本大震災では、薪ストーブのある家が緊急避難所となった例があるそうです。暖を取りつつ、お湯を沸かせる。そして、火の明かりを照明替わりにも使えるわけですね。」

薪ストーブを囲んでのんびり過ごす“ヒュッゲ”な時間

――ここまでの話を聞いて、薪ストーブは電気やガスに頼った暮らしとは、ひと味もふた味も違うような気がしました。そこで、dldが提案する“火のある暮らし”についてもっと聞かせてください。
石井さん「数年前から日本でも聞くようになった『ヒュッゲ』という言葉。これはデンマークの言葉で、大切な人と過ごす時間から生まれる居心地のよさ、心が豊かになれる快適な暮らしといった意味を持ちます。
例えば、家族や友人と食卓を囲んで談笑する。豆から挽いたコーヒーを日当たりのよい場所で飲む。公園のベンチに座って読書の時間を楽しむ。これらのシチュエーションは、デンマークの人にとってすべてヒュッゲです。日本でも”わび・さび”のように感覚を伝える言葉がありますが、それと同じく一言で言い表すことは難しいです。ただ、肩肘張らずにリラックスして過ごす人々の生活は、多くのモノを買って幸福感を得る消費主義的な生活と明らかに異なりますね。
私は、ヒュッゲのシチュエーションに薪ストーブによる“火のある暮らし”も当てはまると思っています。スイッチひとつで温風が出てくるエアコンと違い、薪ストーブは薪を手作業でくべなければなりません。しかも、あたたかくなるまでに時間もかかります。しかし、デンマーク人にとっては、その手間をかけることができる時間や心のゆとりこそが豊かさであり、ヒュッゲと考えているでしょう。そして、薪ストーブの周囲に集まり、炎を眺めながら皆で他愛もない話をすることに幸せを噛みしめているはずです。
デジタルガジェットは現代人の生活に浸透しています。多くのコミュニケーションはSNSを通じて行われますし、情報もインターネットを通じて瞬時に得られます。あらゆる物事はスピーディに進んでいく…。そんな時代だからこそ、時間の使い方や過ごし方が見直されているのかもしれません。近年、キャンプに夢中になる人が増えているのも、そうした時代の流れが関係しているのでしょうね。
話は大きく変わりますが、薪ストーブは調理器具としても使えます。カレーやシチューを煮込んだり、ピザを焼いたり。鶏の丸焼きやパンケーキなど。IHやガスコンロのようにうまく火力の調整ができない薪ストーブですが、試行錯誤しながら仕上がりを楽しみに待つ。これもヒュッゲですね。
皆さんは、キャンドルの火を見ていると気分が落ち着いてくる。そんな感覚を味わったことはありませんか。おそらく川のせせらぎや浜辺に打ち寄せる波、木々の合間からこぼれる陽光などを見ても同じ感覚を味わうはず。これら自然の活動や音は、一定のようであり、不規則でもあります。その独特のリズムは「1/fゆらぎ」と名付けられ、人に癒しの効果をもたらすと言われているのです。薪ストーブの火もキャンドルの場合と同じ。家の中でゆらめく火を眺めていると、時の経過を忘れてしまいます。」

キャンプで体感した焚き火の楽しさを家の中でも

――薪ストーブオーナーが「うちにも取り付けよう」と思った動機やきっかけについて教えてください。また、設置に関するエピソードもあればお願いします

石井さん「『憧れがあった』『薪が手に入りやすかった』など動機やきっかけは、実にさまざま。過去の例をいくつか紹介しますね。」

ずっと薪ストーブへの憧れを持っていた
「とにかく薪ストーブのある生活を送ってみたい」という憧れを抱いてきた方が、いざマイホームを持つことになって、夢を実現させるべくいらっしゃることは多いです。
焚き火の楽しさが忘れられない
キャンプブームの影響を受けた方が、焚き火の魅力に感化されて“火のある暮らし”に興味を持つことも。ここ数年増えています。
薪が手に入りやすい生活環境があった
自身または身近な人が山を所有していて、薪が手に入りやすいから薪ストーブを取り付けたいという方もいらっしゃいました。薪を調達する環境を整えることは大切なので、うらやましい限りです(笑)。
環境負荷低減に貢献したい
環境負荷低減に貢献したいエコ意識の高い方は、昨今の異常気象の経験から化石燃料になるべく頼らない生活を送ろうと考えます。そこで、カーボンニュートラルの薪ストーブにたどり着くわけですね。
定年後にヒュッゲな暮らしに目覚めた
長年働いてきた方が定年退職を機に、ヒュッゲな暮らしに目覚めて薪ストーブを求められたことも。薪ストーブはすでに住宅を建てられている場合も設置可能ですので、どんなタイミングでもはじめられます。

石井さん「以前、火を見ながらゆったりした時間を過ごしたいと要望されたオーナー様がいらっしゃいました。現代はテレビを中心とした設計やインテリアの配置が一般的ですが、そのオーナー様はテレビではなく、薪ストーブをリビングの中心に設置。ソファに座り、火がゆらめく様子を眺めながらゆっくり豊かな時間を過ごすという最高に贅沢な「火のある暮らし」を実現されました。
また、薪ストーブライフをより快適にするのは、薪を置くラック、火ばさみ、グローブ、ファイヤーキーパー、灰掻き、ラグなどのストーブアクセサリーです。お気に入りのアクセサリーに囲まれて暮らすことで、より愛着が増し、充実したストーブライフを送ることができます。
dldは、自社の顧客だけでなく、薪ストーブに興味を持ったクラシスホームさんのお施主様に対して、ストーブの選定とプラニング、施工、アフターサービスを行っています。」

おすすめの薪ストーブメーカーは、ブルナー社(ドイツ)とワム社(デンマーク)

――薪ストーブにも有名なメーカーってあるのでしょうか?また、dldのラインアップを教えてください。

石井さん「欧米を中心に広まった薪ストーブ。だからこそ欧米のメーカーが主流で、国産品はごくわずかです。薪ストーブはクルマやスマートフォンのように、一家に一台、ひとりにひとつ普及しているものではありませんから、お客様がメーカーや製品の情報に詳しいケースはレアです。
dldは1983年に創業しました。当時はアメリカのダッチウエスト社の薪ストーブを輸入して販売。その後、ほかのメーカーも扱ってきましたが、2007年にデンマークの『ワム社』、2014年にドイツの『ブルナー社』の製品に出会い、現在までこの2社をメインに他社の製品も加えてご提案しています。」

dldで扱い中のメーカー
 ● ブルナー(ドイツ)
 ● ワム(デンマーク)
 ● バイキング(デンマーク)
 ● SBI(カナダ)
 ● ダッチウエスト(アメリカ)
 ● ノルフラム(ノルウェー)

それでは、メインで扱っているブルナー社とワム社について説明します。

ブルナー社
日本と並ぶモノづくり大国であるドイツのバイエルン州南東部に工場を構えています。鋳鉄製の薪ストーブブランド「IRONDOG(アイアンドッグ)」は、とにかく剛性が自慢。熱による伸縮や膨張、ねじれが少ないことからは、いかに高い鋳造技術を駆使してつくられたかがわかります。基本的に薪ストーブはボルトとセメントで部材が締結されており、天板を外す際には、ボルトも外さないといけません。これが慣れないとひと苦労なんです。ところが、IRONDOGの天板は道具を使わずに「パカッ」と外せます。さらに、本体の内部でエネルギーを滞留させるバッフルという部品があり、これも簡単に取り出せます。このように、ユーザーフレンドリーな設計も大きな特徴です。

ワム社
もともと換気設備工場を運営していましたが、1976年にアナース.C.ファスタホルトという家具デザイナーと組み、今までにないデザインと機能を持ったストーブを誕生させました。以降もデザインと機能の両立を追求したストーブをつくり続けています。薪ストーブは鋼板製。本体の扉に使われているセラミックガラスは透明度が高く、火の美しさを最大限引き出してくれます。また、タイプや設置場所により、炉壁を設ける必要がなく、洗練されたデザインが家具のように空間に溶け込みます。鋳鉄製を望まれてdldに来られたお客様が「あまりにも火が美しく見えるから」という理由で、ワム社に切り替えることは珍しいケースではありません。

石井さん「私としてはお客様の薪ストーブライフのイメージをより具体化し、お客様の期待に叶うプランニングを心がけています。機種の選定、特に煙突のプランニングは快適な薪ストーブライフを送るうえで非常に大切です。なお、最近の傾向としては、扱いやすくメンテナンスや日常の手入れがしやすい機種に注目が集まっています。
最後になりますが、薪ストーブの設置についての注意点、メンテナンスや薪の調達方法などはdldのブログでも語らせてもらっているので、ぜひチェックしてください。」


株式会社ディーエルディー・営業部 石井将史
以前はスノーボードウェアの国内メーカーに勤務。自然と向き合うことで感じた豊かな暮らしに対して強い興味を持つようになり、その手伝いができる仕事がしたいという気持ちが抑えられなくなったので、ディーエルディーに転職。現在は、自身も薪ストーブのある暮らしを送っていることから、ユーザー視点を大切にしたアドバイスを心がけている。プライベートではアウトドア派。年中海でサーフィンを楽しむ傍ら、友人家族と焚き火を囲むキャンプも大好き。

[株式会社ディーエルディー]
創業者は薪ストーブの快適さに惹かれて販売事業をスタート。薪ストーブの普及をめざす過程では、販売だけでなく、取付工事、メンテナンス、薪の供給なども重要だと感じて、自社でのサービスを展開し始める。現在扱う薪ストーブの中では、ドイツのブルナー社、デンマークのワム社の製品が中心。周辺アクセサリーやメンテナンス用品、BBQ、ガーデンツールも販売している。ショールームは全国に9カ所。東海エリアの人には、みよし市にある名古屋ショールームの利用がおすすめ。

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