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わずかなスペースでも植物を。“家と庭”で“家庭”をつくる喜び

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わずかなスペースでも植物を。“家と庭”で“家庭”をつくる喜び

暮らしの中に確かな存在感と、ふとした瞬間の安らぎや彩りを与えてくれる植物。外構や庭だけではなく玄関や屋内など、あらゆる生活の場面で、植物を通してストーリーや日常の豊かさを感じることができます。
前・後編にわたってお送りしている、クラシスホームの家づくりにおいて庭づくりや外構設計などを手がける「GREEN DESIGN EN’S」の代表・寺西惇さんへのインタビュー。前編では、植物があることで感じられる暮らしの豊かさについての解説をお届けしました。
後編では、住空間と庭、植物の調和性や、暮らしに寄り添う植物の魅力について、引き続き寺西さんへお伺いしていきます。

背の高い木を取り入れることで、空を見上げるひとときを

――住空間に植物を取り入れる時、気を付けたいポイントは?
寺西さん「住宅に植栽する場合、多くのケースでは建物と植物が一緒に目に入ってきますから、建築のイメージとあまり掛け離れた印象にならないように、空間全体としての風景を意識するように心がけています。“いかにも植栽をしました”というデザインではなく、自然に近いような植栽にすることもポイントです。あまりハサミを入れていないような木や、自然のままの樹形の木を織り混ぜることで、ずっとそこに生きているような、その土地に馴染んだ印象になります。」

――暮らしや生活スペースに植栽する時に、よく用いる木はありますか?
寺西さん「EN’Sでは、背が高い木を使うことが多いです。普段、生活しているとなかなか空を見上げることが少なくなってしまいますよね。そこに高木があることで、何気なく上を見上げる機会が増える。また、高い木とのコントラストができるように、足下に個性的な植物を組み合わせることもあります。上を見上げる、ふと足下に目線をやる。そういう視線の流れを植物によって促すことで、空間が広がるような感覚にもつながるのです。」

――植物と長く付き合うために、心がけると良い点は何でしょうか?
寺西さん「「飽きのこない庭づくり」ですね。例えば海外のトレンドや手法をそのまま取り入れてしまうと、日本の情景にはフィットしないケースもあります。好みのテイストがあれば、その要素を一部に取り入れる。そのうえで土地ごとの風土や景観にマッチし、歳月と共に味わいが増すような植栽、庭づくりをおすすめします。」

リビングや和室など屋内からの景観や、歩く時のリズム感を意識

――門扉から玄関まで、アプローチのデザインで心がけていることはありますか?
寺西さん「住宅の「顔」とも言うべき玄関や門扉まわりは、植栽を取り入れる人気スペースです。EN’Sでは、あえて遠回りするようなアプローチの設計を考えることが多いですね。真っ直ぐに道を造れば、門扉から玄関まですぐそこだとしても、緑を楽しみながらアプローチを歩く。そうすることで、オンとオフの切り替えにもなります。庭づくりのデザインに込める、ストーリー性を感じていただけたら嬉しいですね。」

――住まい手の暮らしと調和する、心地よい植栽とは?
寺西さん「植栽や庭というと、外側から見た印象が強いかもしれません。一方で実際に暮らす方にとっては、家の中から眺めることのほうが多いので、屋内から見た景観も重要です。例えば、庭の設計をする場合は、リビングや和室、玄関など植栽が見えるあらゆる空間、角度から検証します。また、階段から見える場合などは、歩くリズムと波長が合うようなグラデーションや高低差など、目で見たリズム感を意識するようにしています。」

古典的な伝統を大切にしながらも、斬新なエッセンスをプラス

――クラシスホームと共に手がけた事例で、印象深いお仕事はありますか?
寺西さん「いろいろありますが、例を挙げるとするならば、クラシスホーム春日井店緑店のモデルハウスでしょうか。ご覧になる方にとっては、もちろん“住まい”、“暮らし”をイメージさせる空間でなければいけないのですが、造り手として考えた時に、ピンポイントでお施主様の希望を叶えるという通常のケースとは異なるハードルの高さを感じました。不特定多数の方にとって快適で、居心地がよく、かっこいい庭、植栽を考えなければならないという点で、難しくもあり、やりがいを感じた例でもあります。」

――特に、こだわった部分はありますか?
寺西さん「どの事例にも共通することですが、EN’Sに対する期待に応える意味でも、オーソドックスなだけではない、植栽の真新しさや植物の存在感をしっかりと伝えたいと考えています。例えば、日本古来の植物を用い、古典的な技法をベースとしながらも、少しエキゾチックなテイストの植物をアクセントに加えたり、馴染み深い植物だけど、組み合わせを斬新にすることで新しい表情を与えたり。王道の中にも、遊び心をプラスするようにしています。」

――クラシスホームとの家づくりに対しては、どのような印象がありますか?
寺西さん「非常にたくさんの引き出しを持っていらっしゃることに、いつも感心します。例えば設計事務所や建築会社の中には、事務所や会社のカラーを強調されるところも少なくないのですが、そういうケースの場合、度を過ぎると押しつけになってしまうことも。
お施主様にとっては、“こうしなくてはいけない”と言われると、選択肢を狭くすることにも繋がりかねません。でもクラシスホームの場合、しっかりと自分たちのカラー、クラシスホームらしさを感じさせつつも、お施主様に寄り添う、自由な発想を受け入れるという懐の深さがある。そのバランス感覚が長けているような印象があります。」

1㎡や植物1本からでも始めてほしい、緑を取り入れた住空間

――緑との新しい関係性や、これからの暮らしにフィットする植物の楽しみ方とは?
寺西さん「植物というのは、その方のライフスタイルや大切にしたい時間、感性など、パーソナルな部分を映し出すひとつの要素だと思うんです。そういった思いから、EN’Sでは今後、ファッションとグリーンを融合した提案を広げていきたいと考えています。
デザイナーとコラボしたオリジナルのTシャツや手ぬぐいなどからスタートしていますが、今後は、もっと新しい観点で植物を身近に感じていただけるような発信をしていきたい。暮らしにスタイルを与えてくれて、自分らしさを演出できるような、アパレルとグリーンの調和という視点からも植物の魅力を伝えていきたいです。」

――これから家を建てる方に向けて、外構面でのアドバイスはありますか?
寺西さん「全面コンクリートで埋めてしまうのではなく、どんなに狭いスペースでも良いので、緑を取り入れられる土のスペースを残してみてほしいです。1㎡もあれば、植物を1本植えることができます。“家庭”という文字が表すように、“家”と“庭”が両方あることで、家族が集う場所になり、“家庭”が育まれていくと思っています。暮らしの空間の一部として、ぜひ建物と植物の素敵な関係を楽しんでください。」

―ありがとうございました。暮らしの中に緑を取り入れることで感じられる潤い、植物や庭と住空間の調和性などさまざまな視点から、植物の魅力についてうかがいました。

時間や季節、歳月の移ろいなどを映し出し、生命の息吹を伝えてくれる植物。暮らしにリズムを生み、家族に寄り添いながら共に時を刻んでくれる植物を住空間に取り入れ、豊かなおうち時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。


【Profile】
寺西 惇さん/株式会社グリーンデザインエンズ 代表
建設業に従事していた20歳の頃、造園業に携わっていた地元の先輩に誘われて造園・植栽の世界へ。植物1本1本の管理や剪定をはじめ、空間を彩る庭の設計から施工まで一貫して担当できる造園の奥深さに魅了され、専門学校へ。ガーデンデザインやインテリアデザインなどを含めたトータルの設計・施工などについて学んだ後、造園会社での修業を経て2009年「GREEN DESIGN EN’S」を開業。全国各地の造園業での修業行脚など幅広い経験と独自のセンスをもとに、造園・植栽の伝統を大切に守りつつ、新しいスタイルの空間づくりを展開。愛知県稲沢市のショップの他、名古屋市丸の内の「atelier/en’s」を拠点に、感度の高い若者たちにも親しみやすいような、アパレルとグリーンが調和した新感覚のライフスタイルも提案する。

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