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家づくりマガジン
2021.04.16

ミッドセンチュリー×クラシスホームで実現。家具と暮らし、時を紡ぐ家づくり

感度の高い、本物志向の人々に愛される1940〜1960年代生まれのミッドセンチュリー家具。アイコン的な存在であるイームズのシェルチェアをはじめ、日本でも今やインテリアの定番として親しまれています。

前編では、ミッドセンチュリー期に作られたヴィンテージ家具を専門に扱う「パームスプリングス」のオーナー長﨑海彦さん、美和さん夫妻に、ミッドセンチュリースタイルが誕生した背景やその魅力を解説していただきました。

[前編]時を超えて愛される、ミッドセンチュリー家具の魅力とは?

後編では、実際にミッドセンチュリー家具をベースとした家づくりを担当した、クラシスホームのインテリアコーディネーター(以下、IC)と設計担当者(以下、設計)が長﨑夫妻(以下、長﨑 ※敬称略)を直撃。これまでの事例を振り返りながら、“家具から考える家づくり”について語り合います。

ジャンルの枠を超え、住空間を考える上で欠かすことのできない、家具やインテリア選びのヒントがいっぱい詰まっています。

※解説されている内容は、個人的な見解を含みます。

施主様のオーダーは「憧れ続けたミッドセンチュリー家具が映える家」

ミッドセンチュリーインテリアを愛でるアメリカンハウス/愛知県西尾市O様邸

設計:パームスプリングスさんの家具を取り入れた事例といえば、西尾市のO様邸が印象的です。O様は「ミッドセンチュリー特有のデザイン、ヴィンテージならではの、時代を超越してきた玄人感がたまらない」とおっしゃっていました。

長﨑:O様と初めてお話した際、当店のカウンターの前に来られて「今度、新築するんです。ミッドセンチュリーの家具が好きなので、家具を楽しめる家にしたいんです!」と目をキラキラと輝かせてご相談いただいたことを鮮明に覚えています。

設計:パームスプリングスさんの家具にずっと憧れを抱きつつも、アパートに住んでいらっしゃったのでサイズなどの問題で置けなかったようです。新築するにあたり、ソファやダイニングセットなど、置きたい家具がある程度決まっていたので、その家具が映えるような家にしたいというオーダーでした。

本当に目を輝かせながら夢を語ってくださったので、私もその思いに応えたいという一心でした。間取りなどの細かい設計図を何度もやりとりし、家具のイメージと建物のイメージを次第にリンクさせていったという感じです。

好きな家具から考える家づくりのメリット、デメリット

IC:O様のように「こういう家具を置きたい」、「こういう部屋にしたい」という思いを初めにうかがうと、その理想に向けて逆算していけるので、ゴールがわかりやすいという側面はありますね。ただ、好きな家具やテイストが明確な方ばかりではないので、ファッションや音楽などその方の趣味嗜好から探っていくケースもあります。

長﨑:お部屋に関しては、ご自分の好みを明確に意識している方は少ないかもしれませんね。特に、若い世代であればなおさら少ないと思います。だからこそ、家具やインテリアをベースに家づくりをするリスクもあります。例えばトレンドのテイストや、SNSなどで話題のインテリアに合わせて家づくりを進めてしまうと、一過性の場合もあるので、建て終わった頃には飽きてしまったり、好みが変わってしまったりということも。

その点、当店が扱っているような本物のヴィンテージの場合、不変的なスタイルという強みもあり、O様のように長く愛し続けてくださる方が多いです。当店のお客様を見ていると、家具を主軸に置いて家づくりを進めても、満足度が高い傾向が強い気がします。

設計:実際にO様も、「好きな物に囲まれているので、どこにいても嬉しくなる」と、ミッドセンチュリー家具のある暮らしを満喫されているようです。

長﨑:前編でお話したように、ミッドセンチュリーというスタイル自体がモダンの源流であるという背景も、愛され続ける理由かもしれません。北欧や日本なども含め、現代まで受け継がれている様々なテイストに影響を与えているので、多少好みがぶれたり、他のテイストと組み合わせたりしても許容できるという懐の深さも利点の一つだと思います。

設計:パームスプリングスさんの家具を使ったコーディネートは、新しい発見もたくさんありました。普段は、プランナーという役割上「家とはこうあるべき」、「住まいとは、こうでなくては」という固定概念にとらわれがちなのですが、家具をベースに考えることで「これを入れるためには、ここを変えよう」と、今まで思いつかなかったようなことに挑戦でき、考え方の幅が広がった気がします。

逆にお客様からも「絶対にこの家具を置きたいと思っていたけど、この間取りならこちらの家具でもいいかな」という声をいただくなど、一緒にブラッシュアップできた点は新しい感覚でした。

ライフステージや時の流れに合わせて変化する、住空間のあり方とは?

長﨑:クラシスホームさんの柔軟性や、お客様の思いに寄り添う姿勢には、いつも感心します。通常は建物ありきで、そこに合わせて家具を選んでいくというのが一般的だと思いますが、家具を中心に家づくりを考えると、難しい点も多いですよね。普段とは違う設計の仕方など、苦労されたこともあるのではないですか?

設計:設計を担当する立場としては、通常、どうしても陽光の取り入れ方や家事動線などを最初に意識して考えがちです。しかし、家具やインテリアまでトータルで考える際には、発想の転換をしながら空間提案をするということを心がけました。先ほどのO様邸においては、家具を壁に見立てて間仕切りにしたのもその一例。すべてを開放し、どの部屋ともつながって往来しやすいというスタイルではなく、開く所は開く、閉じる所は閉じるとメリハリをつけることで家具が映える空間にしました。

長﨑:O様にもご提案したのですが、家具のレイアウト自体はそんなに頻繁に変えられないとしても、家の中のいろいろな場所に座る場所をつくってはいかがですかということを、よくお話しするんです。好きな家具のある空間を楽しむ場所、外を眺められる場所、外から中を眺める場所など、座るポジションを変えることで気分転換になったり、逆に気分に合わせて座る場所を変えて楽しんだりできると思うんです。

O様も竣工された後「今日はここがお気に入りとか、今のマイブームはこの椅子とか、座る場所を変えて楽しんでいます」とおっしゃられていました。

設計:そうですね。新築するにあたって、好みの家具に合わせてつくり込むという考え方もあるとは思うのですが、家というのは、生活スタイルやお子さんの成長に合わせて変化していくべき物。将来的に新しいレイアウトに変えられるように、柔軟な間取りを考えるという部分は、難しくもあり、面白味でもあります。

IC:確かに私たちは、建物を建てるということを大前提に考えるので、建物だけで成立する美しい空間かどうかということを優先してしまいがち。でも本当は、この装飾がなくてもお客様が好きな絵を一枚飾ることで完成する、この造作がなくてもこの家具を置いたら空間が完成するという想像力が大切だと感じます。

新築の住まいというのは、3年や5年ではなく、一生の住み処という思いで建てる方が大半です。ライフスタイルや好み、家族構成が変わっても、お客様自身が暮らしをつくっていけるような家づくり、モデルハウスではなく、暮らすための家づくりを心がけていきたいです。

こだわり抜いたアメリカンスタイルの家/愛知県H様邸

長﨑:暮らしと共に変化を楽しむというお話、すごく共感します。私たちは、アメリカやヨーロッパを中心に、年に数回買い付けに行き、仕入れてきた家具をリペアして販売しています。リペアして手を入れることで、自分たちがこの世を去っても、次の世代がしっかりと使える状態にしておきたい。そして次の世代が上手に手を加えてくれれば、また次の世代へと、永遠にバトンを受け継いでいける物だと信じて家具と向き合っています。

IC:以前、担当させていただいたH様も「パームスプリングスの家具は、リペアの技術が素晴らしく、ヴィンテージ家具としての質が別格」とおっしゃっていました。

長﨑:丁寧に手を加えることできちんと生まれ変われるというのも、ミッドセンチュリー家具だからこそなんです。

私たちは、ミッドセンチュリーの中でも特にアメリカのものに思い入れがあります。アメリカのミッドセンチュリー家具は本当に美しくて上品なんですよ。しっかりとした造りで、細やかな手仕事が生きている、贅沢に素材を使っている。そんな豊かさを感じる時代の物だからこそ、リペアを繰り返していくことで生き続けることができるのです。

少なくとも私たちは、ヴィンテージだから不具合を我慢しなくてはいけないとか、壊れるのが当たり前という状態ではなく、道具として快適に使っていただける状態に整えて送り出しています。

IC:ヴィンテージ家具と暮らすための心得、留意点があればお聞かせください。

長﨑:「ヴィンテージだから」とか、「小さいお子さんがいるから」といって、扱い方にあまり過敏にならなくても良いかなと思うんです。70年物であれば、子どもには「このテーブルは70歳のおばあちゃんだよ。だから乗ったら足が折れちゃうでしょ」って話しかけるくらいでいいのかなって。多少の傷は愛され傷ですから。道具ではあるけれど、一緒に、共に生きている物という愛情を持って接していただければ、自ずと大切にしてもらえるのかなって思います。

家も同じじゃないかなと思うんです。共に変化し、成長していく物として、長く大切にしたくなる、愛着が湧いてくるような家に住みたいですよね。

パームスプリングスとクラシスホーム。その共通項は“温もりを感じる空間づくり”

長﨑:クラシスホームさんと家づくりにたずさわって感じることは、最初から最後まで、本当にお客様に寄り添って、伴走していらっしゃるということです。H様邸の時にも、お客様のご意向やご要望にすごく柔軟に対応していらっしゃいましたね。

IC:H様はもともとアメリカの文化がすごく好きで、サーファーズハウスに憧れていらっしゃったんです。でも、家づくりの計画が進行している時にパームスプリングスさんの家具、空間づくりにひと目で魅了されて。それから何度かプランを変更させていただきながら、床や壁、扉の素材など細部にいたるまでこだわり抜いて選ばれていました。

最終的には、ミッドセンチュリーの世界観に包まれた住まいが完成し、「好きな空間で好きなカップを手に、コーヒーを飲む。そんなひとときが、暮らしを豊かにしてくれます」と今の暮らしを楽しんでいらっしゃいます。

長﨑:クラシスホームのスタッフの皆さんは、本当にフレンドリーで話しやすいですよね。その人の温もりみたいなものが、家のスタイルにも反映されている気がします。

そういう観点でいくと、ミッドセンチュリーの家具も、木の温度感が伝わる物が多く、直角、直線だけではなく、曲線を取り入れた温かみ、優しさを感じるデザインが特徴なので、相通じる部分があるのかもしれません。

クラシスホームさんの住まいとミッドセンチュリー家具の相性が良いと感じる理由は、そういう温度感の近さも影響しているのかもしれませんね。

IC・設計:今日はお忙しいところ、ありがとうございました。今回伺ったお話を、今後もクラシスホームの家づくりに活かしていきたいと思います。

★Profile

長﨑海彦さん、美和さん夫妻/株式会社MODERN ANTIQUES代表(パームスプリングス・オーナー)

高校時代からアメリカ文化への造詣が深かった海彦さん。海彦さんが好きなミッドセンチュリー、ヴィンテージ家具を扱うインテリアショップなどへ一緒に出かけていた美和さんも、次第にその世界観に惹かれるように。2人で行ったアメリカ旅行の際、現地のフリーマーケットでヴィンテージ家具に触れる内、いつしかこの家具を持って帰りたいという衝動に駆られるようになった2人。海彦さんは勤務先を退職し、美和さんと共に「パームスプリングス」をオープン。現在は、娘さんと3人で、丘の上に建つミッドセンチュリーハウスでの暮らしを満喫中。

 

株式会社MODERN ANTIQUES

1940〜1960年代のミッドセンチュリー期に作られたヴィンテージ家具を販売する家具・インテリアショップ「パームスプリングス」を運営。年に数回、アメリカ、ヨーロッパへ渡り、一点一点厳選して仕入れたヴィンテージ家具を、自社の工房で丁寧にリペアして販売。そのリペア技術の高さにも定評がある。2005年、北名古屋市にて創業。1年半後に大須へ移転し、2011年から現在の地へ。「家具からはじめる家づくり」をコンセプトに、ミッドセンチュリースタイルの戸建て新築、リノベーションなど家づくりを手がける「ミッドセンチュリーハウス」も経営。

 

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